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こころのクリニック

脆弱脳症候群の原因  脆弱脳症候群の症状 脆弱脳症候群の治療方法
 抗てんかん薬が効く病態(仮称「脆弱脳症候群」)は、どうして生じるのか
まず脆弱脳症候群とは別の例をあげて説明します。
たとえば、
a. 体質的に皮膚が弱い人の場合、疲れたときに湿疹・じんましん・アトピーなどの「皮膚の炎症」が生じます。
b. 体質的に胃が弱い人の場合、疲れたときにストレス性胃炎や胃潰瘍の症状(胃の痛み・吐き気・嘔吐など)すまわち「胃の炎症」が生じます。
c. 体質的に気道が弱い人の場合、疲れたときに風邪をひきやすかったり喘息発作が起きやすかったりと「気道の炎症」が生じます。

それと同じように、体質的に大脳が疲れに弱い人の場合、
疲れたときに大脳の炎症が生じるのです。
大脳が炎症状態にあるときに、脳波異常が生じます。
この時、頭部CT検査を行うと
大脳全体の萎縮が認められます。 また、脳波検査をすると種々の脳波異常が認められます。
 脆弱脳症候群では、どのような症状が生じやすいのか
脆弱脳症候群は、このように「大脳の炎症状態」と「種々の脳波異常」が存在する状態なので、それに伴って、種々の症状・状態が現れます。
1. もの忘れ,思考力・集中力の低下
脳波が乱れて、思考がストンストンと途切れると、たとえば、   
     「あれっ? 今何とりに来たんだろう」
     「あれっ? 今何してたんだろう」
     「あれっ? 鍵かけたろうか」
     「火を消したろうか」
     「あれっ? 今なんでパソコンを立ち上げたんだろう」
などのように、いわゆる作業記憶(ワーキングメモリworking memoryといい、何かの作業を遂行するために一時的に保管しておく記憶)の寸断が生じやすくなります。
2. 情緒不安定
大脳の炎症状態や種々の脳波異常のために、情緒が安定しなくなります。たとえば、        
     急に不安になったり,イライラしたり,落ち込んだり,急に泣き出したりします.
     気分が晴れ晴れしなくなります.
     日のうちにも気分のムラができるようになります.
     また、日によっても気分にムラが生じるようになります.
 → ときに,それは「そううつ病」の状態になります.
3. 過敏になり,いろいろなことに過剰反応するようになる(神経質・神経過敏)
これには、おそらく大脳の炎症状態が大きく絡んでいるのでしょうが、
     大きな物音が耳障りになります.
     明るい光がまぶしく,目障りになります(薄暗い所を好むようになります).
      (逆に、「真っ暗だと眠られない」という人も結構多いようです。)
     人の言動に過剰反応するようになります.
すなわち、「いじめ」「パワーハラスメント」「セクシャルハラスメント」「言葉の暴力」などは原因ではなくて結果! なのです。 そして、
「訴訟社会 アメリカ」が作り出した新しい概念!なのです。
( そして、各種の「ハラスメントの被害者」は,訴訟を起こすことで加害者となり、被害を受けたという遺書を残して自殺することで,加害者になるのです.)
したがって、私たちがそのような事件・報道に出くわしたときには、このことを念頭において考える必要があります。
4. 自制心の低下,抑制の欠如
とくに前頭葉主体の脳波異常・大脳炎症状態が生じると、前頭葉の主要な機能の一つである「抑制心」(理性・自制心などと表現してもいいでしょう)が損なわれます。

過食・嘔吐 ( 摂食障害 )
 = 人は疲れたときに炭水化物などすぐエネルギー源になる食べ物・飲み物を欲しくなります。
これは正常(健康)な反応です。疲れたときに「ああ、野菜を食べたい!」などとは身体が要求しません。

極度に疲れて大脳の炎症状態に陥っている人の場合、疲れるとほかの人と同様に炭水化物など甘い物・味の濃い物をほしがると同時に、大脳がコントロールを失っているためにそれらをトコトン摂取してしまいます。
ギャンブル依存 =  給料や生活費など手元に現金が入ると、気づいたらギャンブルをしていて、気づいたらスッカラカンになっている。
買い物依存 = 手元に現金があると、つい余計なものまで衝動買いしてしまう。クレジットカードが手元にあると、翌月支払えないほどの金額の衝動買いをしてしまう。一度欲しくなったらガマンできない。
イライラを人や物にあたる・キレる = 脆弱脳症候群があって、疲労時にイライラしてくると、つい周囲の人や物に当たってしまう。とくに酔った時などに、キレてしまう.

いわば「わっかちゃいるけど,やめられない」「やめられない、とまらない」という心理.ときに「わからないうちに,やってしまう」状態になることも.→ そしてときには,それは「躁うつ病(双極性障害)の状態」になる.
5. 種々の発作(身体性,感覚性,自律神経性,精神病性)
けいれん発作,脱力発作,眼瞼けいれん・顔面けいれん,精神運動発作,夢遊病などなど、種々の状態が生じます。

けいれん発作 = いわゆる「ひきつけ発作」です。
脱力発作 = 痙攣が起きるのではなく、全身の力が抜けてしまう発作です。物を取り落としたり、転倒したりします。
眼瞼けいれん・顔面けいれん = とくに下眼瞼がピクピクしたり、顔面がピクピクと痙攣したりします。
精神運動発作 = 急にその場にふさわしくない(あまり意味のない)動作を行う発作。
夢遊病 = これは精神運動発作の一種とも言えますが、睡眠中にムクっと起き出して、本人が気づかないうちに一連の行動をとってしまいます。
        
意識消失 = 気を失う(意識を失う)発作。一瞬のものもあり、長時間続くものもあります。
要素性の幻覚(一瞬の幻聴・幻視) =
中枢性疼痛(舌痛,腰痛,肛門痛,いわゆる坐骨神経痛,肋間神経痛など),頭痛など。
腹痛・胃痛・嘔吐など。
幻覚(幻聴・幻視・幻嗅・幻味・体感幻覚)。

解離状態(多重人格,幽体離脱など)。

失声など。

これらの症状があるときに,大脳が炎症状態を生じており, 脳波異常が存在します。
この状態「脆弱脳症候群」は、「統合失調症」「躁うつ病(双極性障害)」と診断されがちです。
 脆弱脳症候群は、どのように治療すればよいのか
脆弱脳症候群は「大脳の炎症状態」と「種々の脳波異常」ですが、それはどのように治療したらよいのでしょうか?
このページの冒頭で説明したとおり、この状態は脳波の乱れで生じているので、「抗てんかん薬」を用いた薬物が治療に役立ちます。

まず第一選択薬として、表1のような種類の抗てんかん薬があります。

〈表1〉第一選択薬として使われる抗てんかん薬

一般名 商品名 1日量・有効血中濃度 注意点(副作用など)
バルプロ酸 デパケンR
セレニカR
400〜1200mg
有効血中濃度50〜100μg/ml
高アンモニア血症(眠気・ふらつき・脱力など)、脱毛、ラモトリギンの血中濃度を上げる
カルバマゼピン テグレトール 200〜600mg(1200mgを超えない)
有効血中濃度6〜12μg/ml
眠気、ふらつき、薬疹
フェニトイン アレビアチン 200〜300mg
有効血中濃度10〜20μg/ml

点滴静注も可
眠気、ふらつき、集中力の低下、薬疹、イライラ感、興奮、中毒症状(眠気、ふらつき、眼振など)
ホスフェニトイン ホストイン 750mg点滴静注
有効血中濃度フェニとインとして10〜20μg/ml
眠気、ふらつき、薬疹
ゾニサミド エクセグラン 200〜400mg(600mgを超えない)
有効血中濃度10〜30μg/ml
眠気、ふらつき、薬疹
フェノバルビタール フェノバール 30〜200mg
有効血中濃度10〜30μg/ml
眠気、ふらつき、イライラ感、興奮
レベチラセタム イーケプラ 1000〜3000mg 眠気、ふらつき
ラモトリギン ラミクタール 200〜400mg 眠気、ふらつき、薬疹
バルプロ酸との併用で血中濃度が上がる

表1の抗てんかん薬が効果不十分なら、表2の抗てんかん薬を併用します。

〈表2〉併用薬として使われる抗てんかん薬

一般名 商品名 1日量・有効血中濃度 注意点(副作用など)
クロナゼパム ランドセン
リボトリール
2〜6mg
有効血中濃度10〜70ng/ml
眠気、ふらつき
ジアゼパム ホリゾン
セルシン
2〜400mg
筋注も可
静注可(ただし、呼吸停止に注意)
眠気、ふらつき
ニトラゼパム ベンザリン
ネルボン
5〜15mg
有効血中濃度20〜100ng/ml
眠気、ふらつき
クロバザム マイスタン 10〜30mg(40mgを超えない)mg 眠気、ふらつき
トピラマート トピナ 200〜400mg(600mgを超えない) 眠気、ふらつき
ガバペンチン ガバペン 1200〜1800mg(2400mgを超えない) 眠気、ふらつき

基本的には表1の抗てんかん薬を単剤で処方するのが好ましいのですが、それでは効果不十分なことも多く、その場合には表2の抗てんかん薬を併用したり、表1の抗てんかん薬を2剤以上使わなければならないこともあります。
  • 以下、作成中。

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