自殺の原因の大部分は、実は「統合失調症」です。「絶望感」「消えてなくなりたい気分」は統合失調症の基本的な症状のひとつです。しかし、世界中で「うつ病」が自殺のいちばんの原因であるという認識がまかり通っています。そのため統合失調症の治療に抗精神病薬が使われず、抗うつ薬が使われ、そして、自殺を防げなかったという悲しい状況が続いているのです。
自殺の原因の大部分は、実は「統合失調症」です。
「絶望感」や「消えてなくなりたい気分」は、統合失調症の基本的な症状のひとつです。しかし、まだまだ世界中で、「うつ病」が自殺のいちばんの原因である、という認識がまかり通っています。
そのため統合失調症の治療に「抗精神病薬」が使われずに、間違って「抗うつ薬」が使われ、そして結局は、自殺を防ぐことができなかったという悲しい状況が続いているのです。
統合失調症の場合、前向きの気持ちがなくなり、いわゆる「マイナス思考」が強まり、「絶望感」や「悲観的な気分」が強まります。「生きていても何の意味があるんだろう」とか、「こんなに辛いならいっそ死んでしまいたい」というふうに考えてしまいます。このとき、「抗うつ薬」ではなくて「抗精神病薬」が著効を示します。「抗うつ薬」は統合失調症を治療する薬ではないので、「抗うつ薬」で自殺は防げません。
一方、うつ病の場合、心のゆとりはなくなりますが、いわゆる「プラス思考」が消えることはなく、いろいろなことに果敢に挑戦し続けます。頑張ってみては「いっぱいいっぱいの状態」になることを繰り返しがちです。けれども、「絶望感」は抱きません。「なんとかなるさ」という前向きな姿勢はなくなりません。そして、この場合、「抗うつ薬」が著効を示し、「抗精神病薬」は副作用のみをもたらします。
統合失調症で自殺が多くても、うつ病では自殺は稀です。
日本の専門家ばかりではなく、世界的にも、このあたりの状況を勘違いしている専門家がまだまだ多いのが現実です。
その結果、「抗うつ薬は、うつ病患者の自殺の危険性を増す」という誤った認識がうまれ、そのような警告が発せられる結果になってしまうのです。
今もっとも必要な警告は、「自殺や希死念慮(自殺願望)をみたら、まず統合失調症を疑え!」というものであるべきです。