高校二年の娘が二学期から不登校になり、統合失調症と診断されました。親として、不登校が先なのか、心の病気が先なのか、脳の異常なのか、性格の問題なのか、悩んできましたが、先生のホームページを読んで、答えが見えてきました。今回お聞きしたいのは薬は飲み続けなければいけないのかということです。ロナセンの内服を開始してから、悪夢を見なくなり、眠れるようなったり、過去の失敗が頭から離れないなどの症状がなくなり、来年度から留年して復学したいと言うようにまで回復しました。しかし、一日の過ごし方を見ていると、朝九時ころに起きて、夜も九時には寝てしまいます。昼寝をすることもあるようです。復学する高校は進学校で宿題の量も多くこのような生活ペースではついていけません。薬はやめられないものでしょうか。
返事が遅れて申し訳ありません。周囲に気をまわし、気を遣いすぎ、主体性が失われると、ぐるぐる考えるようになります。「こう言おうかな、ああ言おうかな、やっぱりやめておこう」などと考え、コミュニケーションが苦手になり、引きこもりがちになります。睡眠中もぐるぐる思考が持続するため、良い睡眠がとれなくなります。人によっては、リアルな夢(たとえば勉強や試験に追われる夢など)を見て、朝起床時に寝足りなさや起きだす億劫さ、登校の億劫さなどが生じます。頭は働かず、体は重く、だるく、洗面も入浴も億劫で「仕方なくやるか」という状態になります。気力の減退、全身倦怠感、思考力の低下などは、このようにして生じる慢性的な疲弊状態に伴う症状です。そのとき、マイナス思考も生じます。私たちが健康なとき、疲れていないときには、能天気で、プラス思考です。過去の嫌なことや失敗を思いだそうとしてもなかなか思い出せないものです。しかし、疲れ切っているときには、楽しい思い出は浮かばず、恥ずかしくて思い出したくない失敗、後悔すること、嫌な思い出は芋づる式に思い出されます。ロナセンの主な作用は「ぐるぐる思考を断ち切る」というものです。ぐるぐる思考が一番強まるのが、自分の意志で思考を変えられない睡眠中です。ロナセンの就寝前の服用が最も効果的です。(日中もぐるぐる考えて止まらないときには朝食後と夕食後の2回に少量のロナセン追加もいいでしょう)ただし、病状が改善してくると、ロナセンは「ぐるぐる思考を止める」のではなくて、「頭が働かなくなる」「思考力が低下する」という効き方をしてきます。その際には、ロナセンの服用量を減量していく必要があります。主治医の先生とも相談しながら、服用量を調節してもらえばいいでしょう。あるいは、ご本人と相談しながら、多少加減してみて、その結果を主治医に伝えてみるのもいいでしょう。ただし、そのようなロナセンの「副作用」(というよりも、病状が軽くなってロナセンが効きすぎるようになっただけですが)がないのに、病気が良くなったと素人判断をしてロナセンを止めてしまわないようにしましょう。肝心なのは(いちばん大事な目標は)、服薬しなくなることではなくて、病気が良くなった状態を維持することです。ときに飲み忘れて病状に変化がなくて(病状の悪化がなくて)、「もう治った。薬は必要ない」と勝手な判断をしてしまう人がいます。それは服薬を続けていていわばエネルギーの「備蓄」のようなものがあるからです。本当によくなっていないときは、2〜3か月もすると、治療前の症状がもっと強く出てきてしまいます。この病気は十分に治る可能性があります。いつ薬をやめようか、と考えるのではなく、今は薬を飲んでいい状態を続けよう、と考えていてください。人に気を遣わず主体的に生きられるようになり、ぐるぐる思考がなくなり、慢性的な疲弊状態から徐々に抜け出していけば、薬の減量をしなければならない状態が生じ、いずれは治療を終了することが出るようになるかもしれません。(いろいろな病気や障害があります。たとえば、近視の人は一生眼鏡やコンタクトレンズを使って視力矯正することによって健康な生活を送れます。高血圧症の人は一生降圧剤を服用することに疑問を持ちません。ただし、肥満などが原因の人は食生活を少しずつ変えて、降圧薬を減量したり飲まなくて済むようになるかもしれません。いずれにせよ、視力矯正具や薬の使用をやめることよりも、「健康に生活することが第一義」なわけです。)娘さんも、思考の仕方を変え、コミュニケーションがうまくなり、病気が早くよくなるといいですね。> 高校二年の娘が二学期から不登校になり、統合失調症と診断されました。親として、不登校が先なのか、心の病気が先なのか、脳の異常なのか、性格の問題なのか、悩んできましたが、先生のホームページを読んで、答えが見えてきました。今回お聞きしたいのは薬は飲み続けなければいけないのかということです。ロナセンの内服を開始してから、悪夢を見なくなり、眠れるようなったり、過去の失敗が頭から離れないなどの症状がなくなり、来年度から留年して復学したいと言うようにまで回復しました。しかし、一日の過ごし方を見ていると、朝九時ころに起きて、夜も九時には寝てしまいます。昼寝をすることもあるようです。復学する高校は進学校で宿題の量も多くこのような生活ペースではついていけません。薬はやめられないものでしょうか。
>お返事ありがとうございます。ご意見大変参考になりました主治医の先生には、眠気の件は最初から訴えていますが、この薬は眠気は出ないはずと言われるばかりです実際眠気の副作用があることはわかりましたただし、薬のせいで眠いのか、病気のせいで気力が低下しているのかは分からないですねこの薬を飲み始めて、二日ほどで劇的に効果がありました。本当に感謝しています。減量して、悪化するのが怖いということも事実です次回受信時に相聞いてみたいと思いますありがとうございました。