はじめまして。現代型うつをネットで調べているうちにこちらのHPにたどり着きました。ここ1〜2か月、涙が急にでてしまったり、椅子にも座っていられない倦怠感を感じています。しかし、仕事はしっかりこなさなければと明るくテキパキと行っているので、辛いことを訴えても「うつ病の人はもっと元気がない。誰もがストレスを抱えて仕事をしている」と言われます。加えて休日は友人と会うこともできるので、自分でも心の病気ではなく根性が足りないからなのかと思っていました。ただ、昔から物事に対して過敏に反応してしまう癖はあります。と言うのも中学から不登校で大学は普通の学校に進学しましたが、何かがあるとすぐに家にひきこもってしまいます。他人の気持ちが手に取るようにわかるので、相手のことを考えて行動しているうちに限界が来て、休みたくなってしまうのかなぁなどと考えていました。しかし最近は、こんなことを繰り返していてはいつまで経っても先に進めないと、考えるようになってはいました。そんな経緯があったので、大学を卒業し、就職した会社では長く頑張ろうと思っていました。しかし、親友のように親しかった祖父母が相次いで去年亡くなったこと、仕事やその他のことを相談していた先輩も退職してしまい、会社への不信感もある今、本当にしんどい状況です。次々に人が辞めていく会社で、このままこんなつらい思いをしてまでこの会社にすがりつくことがあるのだろうかと退職の意を上司に伝えたところ、「僕の見るところ5月病のようなものだから、考え直した方がいいよ」と言われ取りあえず保留になりました。自分でも今は正常な判断ができないから何かを決断しない方が良いのではないかとも思います。その反面、正常な気持ちに戻るためにはやはりストレスの原因である会社から離れる必要があるのではないかとも思えます。(ちなみに契約書には休職は認めないと書かれていたため休職することもできません。)これが病気だとすると今までも同じようなことがあったため、10年ぐらいずっと病気だったことになってしまいます。先日、近くにある東京のメンタルクリニックにはじめて行きましたが診察時間が短くここまでは話せていません。これは何かの病気?障害?なんでしょうか?長文になってしましましたがご返信いただけると幸いです。
ご返事が遅れてごめんなさい。 (1)急に涙が出てしまう、(2)昔から物事に過敏に反応してしまう、などの症状は「脆弱脳プロセス」です。 (3)急に倦怠感が襲ってくる、(4)他人の気持ちが手に取るようにわかるので、相手のことを考えて行動してしまう。などは「主体性喪失プロセス」です。 「主体性喪失プロセス」も「脆弱脳プロセス」も、私が病気を理解しやすくするために作り出した造語ですので、何のことかわからないと思いますので、簡単に説明します。 「主体性喪失プロセス」について、まず説明します。 人間というのはとても協調性があって、そのおかげで社会組織を築き、その一員となって生活してけるわけですが、協調性が過度になると、「自分を失う」「自分というものがなくなる」という状態に陥ります。私はこのプロセスのことを主体性喪失プロセスと呼んでいますが、このとき相手のペースに合わせ、自分をなくし、「疲労感の欠如」が生じます。 すると、疲れて気力がわかないときに、人の目を気にせず休むのではなく、「自分は怠けているのではないか、さぼっているのではないか」等と自分を責め、「もっと気力を振り絞らなければ」と考えてしまいます。 また、疲れて体がだるい時に、人目を気にせず休むのではなく。「体力が落ちてきている、衰えていくのではないか」等と考え、「もっと体力をつけなければ」と考えてしまいます。 あるいは、疲れて頭が働かないときに、「バカになったのではないか、ボケていくのではないか」等と考え、「もっと頭を使わなければ」と考えてしまいます。 そして何よりも、相手に気をまわしすぎ、気を使いすぎ、相手の心中を憶測しすぎ、グルグル考え続け、前頭葉のオーバーワーク状態が止まらなくなり、脳は疲れ果てていきます。 この慢性的な疲弊状態の時に現れる症状として、「いなくなりたい」「逃げ出したい」「消えてなくなりたい」という消滅願望が出現したり、気力の減退(たとえば、出勤が億劫、顔を洗うのも風呂に入るのもおっくうだけど義務感から行う状態) 、全身倦怠感、思考力・集中力の低下、取り残され感、などの症状が出現するので、DSM-5というアメリカの診断基準では「気分障害」「感情障害」すなわち「うつ病」と診断しなさいということになっています。 あなたの症状のことが詳しくわからないので断言できませんが、あなたはこの状態にあるのかもしれません。 次に「脆弱脳プロセス」について説明します。 別の例でいうと、疲れると皮膚の炎症・過敏症(蕁麻疹、湿疹など)が出やすい人がいます。疲れると胃の過敏症(急な胃痛や吐き気・嘔吐など)、腸の過敏症(下痢・便秘など)、膀胱の過敏症(頻尿・排尿困難など)…などと疲労時に、その人その人で弱いところの過敏症が出てきやすいものです。 それと同様に、疲れると脳の過敏症・炎症が出現する人もいます。このときどのような症状他現れやすいかというと、(a)物忘れ(たとえば「あれ、今何をやってたろう」「あれ、鍵をかけたろうか」など)(b)情緒不安定(急に落ち込む、イライラする、不安になる、急に泣き出すなど)(c)過敏性(物音が耳障り、明るい光が目障り、周囲の言動に過敏・神経質など)(d)自制心の低下・脱抑制(「わかっちゃいるけどやめられない」という状態で、いらいらすると人や物にあたる、急に疲れると過食してしまう、など)(e)空耳(ドアチャイム音がして出てみると誰もいない。携帯着信音がしたので見ると着信はなかった、など)、耳鳴りなど発作性幻聴という症状が出やすいものです。 主体性喪失プロセスで慢性的な疲弊状態にあるときに、脆弱脳プロセスも生じやすいものです。 主体性喪失プロセスは広義の「統合失調症」ですから、抗精神病薬(ロナセン、リスパダール、ジプレキサ、エビリファイなどなど)が効果を発揮します。また、うつ病としてのくくりでいえば「メランコリー型うつ病」に相当します。 脆弱脳プロセスは広義の「てんかん」ですから、抗てんかん薬(ラミクタール、テグレトール、デパケン、ランドセンなどなど)が効果を発揮します。うつ病としてのくくりでいえば「ディスチミア型うつ病」に相当します。 これに対して、SSRI(パキシル、デプロメールなどなど)やSNRI(トレドミン、サインバルタなどなど)が効く「うつ病」は、「精神力枯渇プロセス」とでもいえばよい状態で、文字通り頑張りすぎて「電池切れ」になった状態です。「主体性喪失プロセス」と違う点は「疲労感がある」ということで、疲れを感じると十分休めますが、元気が出ると再び頑張ってしまい電池切れになる、ということを繰り返します。 さて、あなたの場合、どれに当てはまるのか、もう少し情報があればいいのかなと思います。 もし上記のどれかに当てはまるのであれば、十分に休養しつつ(休み方を練習しつつ)、通院治療(薬物療法と精神療法)を受けられてらよいのではないでしょうか。